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コルクスタジオ縦スクマンガ賞 結果発表

たくさんの方にご応募いただいた「第1回 コルクスタジオ縦スクマンガ賞」の結果発表です!

編集部による選考の結果、今回は期待賞が3本、マンガ専科賞が3本出ました。

以下、受賞作のご紹介とコルクスタジオ編集長・ごとう(@goto_junpei)からの講評を掲載させていただきます。

受賞者や応募者の皆さまはもちろん、次回以降の応募をご検討のみなさまはぜひご覧くださいませ。

コルクスタジオ縦スクマンガ賞について詳しくはこちら ▼


縦スク賞

・賞金:10万円
・特典:コルクスタジオの編集者が、あなたの専任担当になります

→ 今回、縦スク賞は出ませんでした。


期待賞

・賞金:5万円

『ガール・ミーツ・ユニコーン』 (伊吹天花)

作品を読む

頑張っても報われない、少女の切なる想いが響きました! 成長、ということの魅力がこの作品全体を支えていると思います。少女から大人へ、わずかな性への興味や、恋心への目覚め、少しずつ大人に目覚めていく様子が、可愛い絵柄を包むように全体を香りづけているように感じました!
ストーリーを見ても、主人公の願いに決着をつけるまで、しっかりと描ききっていますね! リックの目的がなんだったのか、リックの狙いがより明確になると、主人公と対立や葛藤が生じ、また必要なエピソードの取捨選択もしやすくなると思います。
魔法少女的なテンプレートが、やや借り物感があり、自分のものとして活かし切るには、もうワンアイデア必要とも感じました。もしくはテンプレートを手放し自由な中で軸を見つけられるようになると、マンガ家としてのステージがさらに一段上がりそうです!

編集長コメント

『ゴキブリ先生の家庭訪問』 (Prindell EGG)

作品を読む

ゴキブリ先生への畏怖の気持ちが、敬語として現れてしまう感じ…でもつい本音も見えてしまう感じ、追い詰められた人間の感情をしっかり表現できています。風呂に入る展開など、極限の人間はそういう行動を取るんだ、という、読んでいて発見まで行きついているのも、期待を大きく超えてくれました。
デフォルメされたキャラクターですが、小さなコマの立ち姿、重心の取り方まで、しっかり演技できています。感情の細かい変化を掴み、表現しきる。マンガを描いていく上でもっとも大事なことができている作品と思います。
またギャグコメディをテンポよく読ませるということに、縦スクの今後の多様化への可能性を感じました。唯一あるのは、ゴキブリが出た、というあまりに些細な話なので、ややテーマが浅く受け取られてしまう点でしょうか。これはまたたくさんの作品を作っていく中で、より野心的になっていってもらえたらと思います!

編集長コメント

『水郷めぐり』 (かよ)

作品を読む

魅力的な世界観を丁寧に細部まで作り込んだ作品と感じます!水面に浮かぶ妖怪など、存在感があり、いそう…と思えるようなデザインと佇まい。目が離せませんでした。妖怪の町も、しっかりとリアリティを持たせられているのが見事です!
渡し守、という題材も、縦スクにとても合っていて、川を下り、異世界に誘っていく体験を一層臨場感を持って体験することができました。また同時に、時間の流れも大胆に表現しましたね。流れ、ということを、画面的にも、時間的にも挑戦した意欲的な作品だと思います。
情報の取捨選択の面で、あともう一歩、誰のどんな話なのか、ということを明確にできたかもしれません。冒頭では女子高生が主役の話かな?と迷う部分もありました。
主人公の感情の流れも、もう一歩意識的になれるとさらに文句の付け所のない作品になると思います!

編集長コメント


マンガ専科賞

・特典:次回開催のコルクラボマンガ専科へ無料招待

『傷だらけのふたり』 (ジョー)

作品を読む

少年と少女の出会いから、壮絶なラストまで一気に駆け抜けていますね!一瞬の嵐で、気づけば大事なものを失っていた…ような、あとあとその一瞬のできごとを考え続けてしまう作品だと思います。
エンターテイメント作品には、どうなっちゃうの?と思わせる状況作りが重要です。この作品はショッピングモールでただ二人が出会っただけなのですが、その二人がとても強い覚悟と動機を持っていることで、その緊迫感にとても強く引き込まれました。少年と少女の危うく、しかしとても純粋な想いがありますね。
中盤後半は、キャラクターの深部が描かれることが多いです。そこでの心情に、ここまで追い込まれた人生のリアリティを感じることができると、より命の重さを感じ、テーマも鮮明になっていくと思います。現実感、リアリティが大事な作風と思いますので、今後も追求してほしいです!

編集長コメント

『神々のカルテ』 (みじんこ)

作品を読む

自分自身が特別な存在でありたい、という思い。その思いこそが他者との境界線を作り、蔑み、さらなる孤立を生む。ファンタジー設定だからこそその本質をはっきりと浮き彫りにできていると思います。そしてその治療難度の高さも。これは本当に根深く、どうやったら解決していけるのだろうかと、主人公に強く期待してしまいますね。
縦スクロール作品で、人間の本質を見つめ、社会的なテーマも含むような内容を描く作品はまだまだ少ないと思います。人間の心の深みを潜っていくのに縦スクロールのフォーマットというのは効果的に使えるかもしれません。
主人公の葛藤も、きっとこれから描かれると思いますが、作品にとってとても大事な部分と思います。この先しっかり描いて欲しいと思いました!

編集長コメント

『鼻毛の異能者』 (オーツボ)

作品を読む

これはすごい…!CGをうまく使う、新たな可能性を見ました。もしかしたら可能性どころか、このわずかに不自然なたたずまいや、表情とセリフのギャップ、リアルすぎる質感と陰影、これじゃなきゃ成立しない、究極の完成形なのかもしれません。真面目にやっているからこそ面白い、という、ギャグのレベルの高さが尋常ではなく、本当にギリギリのバランス感覚だと思いました。
鼻毛という、内容的に雑なアイデアに見えるかもしれませんが、実際の絵作りは雑ではなく、細部までしっかり仕上げられています。相当の手数と労力がかかったはずで、内容的にバカバカしいことに、何週間も、下手したら何ヶ月もエネルギーを注ぎ続け、ある程度の完成形まで持っていくのは本物の変人…ではなくて、本物のクリエイターだと思います。センスで片付けてはいけない、マンガ家に絶対に必要な粘り強さを持っていますね。さらに期待することといえば、もう少し鼻毛を生かして欲しかったです!

編集長コメント


編集長による総評

みなさま、ご応募ありがとうございました!コルクスタジオ編集部にとっても初めての賞で、実際手探りで進めていた部分もありました。審査するまで、どのような話し合いになるのか予想もできなかったのですが、実際は皆さんの作品のエネルギー、熱量に着火して、審査会は相当に白熱しました。どの作品もしっかり輝くものが入っていて、それを見出した編集者がお互いに譲らず主張し、どの作品が選ぶのか最後の最後まで議論し尽くしました。
 
縦スク賞、についても、これも何度も議論を重ねた結果、該当なし、としました。これは正直なところ、僕たちに責任があるのだと思います。僕たちがまだ自分たちの色を決め、打ち出し切れてないことで、これぞコルクスタジオらしい作品だよね!!というには、どの作品も迷いがあり、僕らが迷いながら一番の賞を出すことはできないんじゃないか、という結論になりました。
 
まだまだ僕たち編集部も未熟ですが、その分しっかりと皆さんの作品に向き合い、一緒にスタジオを作り上げていきたいと思っています。今回賞に取り上げられてなかった作品も本当に素晴らしく、全ての作品に、編集者からコメントをお返ししたいと思っています。
 
マンガ賞の意義をしっかり確かめた、未来に向けて可能性が広がる第一回でした。本当に応募してくださった皆さまのおかげです。どうもありがとうございました!また次回も、ぜひお待ちしております!


マンガ賞運営チームよりお知らせ

受賞者のみなさまには後ほど、応募時にいただいたメールアドレスあてにご連絡させていただきます。今しばらくお待ちください。