見出し画像

コルクスタジオ縦スクマンガ賞 全作品講評

世界中で非常に多くの読者を集め、ドラマなどの原作としても注目される「縦型フォーマット(縦スク)マンガ」。

この分野に注力しているコルクスタジオでは、「縦スクマンガ賞を開催しよう!」ということで、昨年10月13日に第1回 コルクスタジオ縦スクマンガ賞の募集を開始。同年12月14日の締め切りまでに28作品の応募をいただき、そのうち6作品を期待賞・マンガ専科賞に選出させていただきました。ご応募いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

今回の記事では、28作品全ての講評(各作品、編集者2名ずつ)を掲載させていただきます。

応募者の皆さまはもちろん、次回のコルクスタジオ縦スクマンガ賞への応募を検討いただいてる皆さまの参考になればと思います。

『キミトキミト』 (さてよ)

最後のひっくり返し方が面白かったです。やりたいストーリーの流れがとても良いと思いました。
次に必要なのは、そのストーリーにキャラクターが馴染んでいるかどうかです。ゆうへいくんの登場の仕方が、そこまでの伏線など何もないところからだったので唐突に感じました。例えば、昔の時点から多少なり名前が出ていたり、過去から憧れられていたような雰囲気を察することができるような要素があったり、もしくはゆうかさんの方で、嫌味な感じというより心配している感じを出す、など試行錯誤してみると唐突感は減ったかもしれません。

編集者(柏村)コメント

かわいい絵柄と色合いもポップで読んでて楽しく、先へ先へとめくらされてしまいました!ラストのキスシーンから、お話をコンパクトにまとめるために急展開させたのも、見事です。芯のある主人公を描けるのもさてよさんの強みですね!
強みを生かすために、キャラクターが今どんな気持ちなのかしっかり知り、演技させる、具体的には、冒頭で嘘をつくなら、何かを企む間があるかもしれません。そうやってその時々の心情をしっかり表すだけでさらに魅力的になると思います!

編集者(後藤)コメント

『BOTくん』 (二本柳亜美)

感情がないはずのロボットが、感情がある人間との関わりを通じて、「感情」という人間らしさを表している特性を理解していくストーリー、またそのロボットに向けられていた暖かな感情が表現されている所が素敵だと思いました!
その上で、「ロボットと人間」をもっとしっかりと描き分けたほうが良いのでは、と感じました。所々でロボットにも感情が溢れていて、それ故に最後の『ロボットだからわかりませんでした...』のクライマックスが弱まっているように感じます。
『ココロのプログラム』のような、人間味がある中でどこかずれてしまっている、という差分が描けるともっとよくなると思います。
ストーリーの根幹となる「問題提起」、読者は何を楽しむのか?を言語化して、際立たせることを意識してみると良いのではないでしょうか。

編集者(佐野)コメント

ロボットのご主人さまのほうが、劇的変化を遂げるという展開がおもしろかったです!
ヤンキーというちょっと遠い存在を、ボットくんがどう理解していくのか。人が人を観察するよりも、「観察」という要素が強まっていて、その点に魅力を感じました。どんな人なのかを読者も想像していける関係性になっていると思います。
ご主人さまが変わっていくのはほかのパターンを見てみたいものの、ご主人さまとボットくんを固定して、2人の関係性を深めていく構成で読んでみたいです。さらにボットくんが相手を理解する・理解できないといったことにフォーカスができ、そして別れへの切なさが感じられると思いました。

編集者(高林)コメント

『おばあちゃんは心配性』 (矢島碧入)

作品を通しての柔らかい雰囲気と線の色やキャラクターがマッチしていて、とても読みやすく楽しめました!
その反面、小学生の頃に、自分を認めて救ってくれた教師(おばあちゃん)への恩返しの物語で、描きたい部分が最後まで心配してくれていた部分なのであれば、『死』にまつわる部分を軽率に描きすぎるとご都合主義に見えます。
『登場人物は何がしたいのか』『読者は何を楽しむのか』を改めて言語化し、その部分を厚く、他を削って再稿すると、より伝わりやすくなると思います。

編集者(佐野)コメント

冒頭のつかみから状況設定が明確で、するすると物語に入り込めました。おばあちゃんが主人公であったり、横書きのモノローグ形式で進んでいく形式が、絵本のような柔らかい読み味となっていて魅力的です。この物語を通じて最も伝えたい部分を軸に、全体の構成を少し整理してみても良いかもしれません。

編集者(村山)コメント

『お菓子の魔法使い』 (みじんこ)

主人公の作るお菓子一つ一つにそのお菓子のエピソードがついていて、食べてみたくなりました!皇帝と絨毯に乗った時にこれはもしやラブが始まる!?という期待を持ちました。その後に出てくる青年が皇帝なのが良かったです!
惜しいのは、転生した後の主人公の心の動きが読み取りづらく、転生したことに対してすんなりと受け入れているように見えることです。お店の名前にリリヤを入れる流れはとてもいいので、主人公のしたいこととリリヤとして人生を歩んでいくことにどんな意義があるのかもう少し丁寧に見せることができればさらに入り込みやすくなると思います。

編集者(酒井)コメント

主人公の可愛いキャラクターとお菓子の魅力がしっかりうまく描かれていて、世界観に引き込まれました!主人公の願望も、共感でき、お菓子にまつわる話も素敵で、とても良かったです。王道のストーリーであることもとても読みやすかったです。主人公の乗り越えるべき壁が少し難しく感じられると、よりワクワクした物語になると思いました。

編集者(竹本)コメント

『インテリトス・ソミノム-人類殲滅(せんめつ)プロジェクト』 (アマリコ Amariko)

バカな魔王魅力的ですね!可愛い生き物に翻弄されてしまうのも、共感できました!8枚紙芝居を元に縦にしていると思うのでややダイジェスト感が出てしまっているので、状況やもう少し細かい感情の変化を追ってみてほしいです。またクライマックス手前のキャラクター深部が描かれる部分では、なぜ魔王が可愛さや尊さがここまで響くのか、その背景とか価値観を語ってあげると、よりストーリーマンガらしくなると思います!

編集者(後藤)コメント

おバカな魔王のおバカなエピソードかなり好物でした!さらにブラッシュアップしていくということで、魔王であることに対して可愛いものを全力で守ろうといている姿や凛々しさor怖さとおバカというギャップをさらに強調していっていただけると爆笑ストーリーになると思いました!
ポセイドンももっとキャラが立ってくると魔王との絡みの面白さが出てくると思います!

編集者(酒井)コメント

『ガール・ミーツ・ユニコーン』 (伊吹天花)

話の筋がわかりやすく、とても読みやすかったです!子供向けのような絵柄で大人な内容が盛り込まれているのが独特の雰囲気を作っていると感じました。神話の扱い方も上手く、思わずニヤリとしてしまいました。
うまくまとまっている分、キャラクターの人物像が設定に寄ってしまっている感があり、もっと主人公のちるやリックらしさが見えてくるとより楽しめる作品になると思います。

編集者(酒井)コメント

ストーリーがヒーローズジャーニーの型におおよそ則っていて、しっかりと物語を描き切る力がある作家さんだなと感じました!
きちんと、主人公のしたいこと、読者が楽しむことが整理されていると思います。
個人的に、重すぎる運命を背負って立ち向かう主人公に心を奪われることもあり、感情移入して読むことができました。
Webtoonにするのであれば、たくさんの作品を読んで場展の表現技法の幅を広げるなど、横読みのコマ割りをそのまま転用せず縦スクナイズすることにトライすることをお勧めします。
よりテンポ良く描くことができれば、より多くの人の心を掴むことができると思います。

編集者(佐野)コメント

『おむすびころりん』 (はるむすび・志水恵美・小池ぬーみん)

見飽きたはずの昔話をスマホ縦スクで読む新しさに目を奪われました。巻物のように上下に進む形式が、昔話の味わいと不思議にマッチしていて新鮮です。多くの人があらすじを知っているので、絵的な仕掛けやアレンジでさらに読み手の期待を上回れると一層楽しい作品になりそうです。

編集者(村山)コメント

昔話を3人のメンバーでリレー形式で描かれているのにも関わらず、演出部分に小さな差はありながらも違和感なく作品に没入することができました。縦スクロールで絵本を読んでいるような心もちになり、児童向けジャンルの縦スクロールというあたらしい形をみたのかもしれないと興奮しました。今回昔話をそのままほとんど改変なく縦スクロールにされているかと思うので、キャラクターや時代、世界観に違う要素にされていたらより「おっ」と目をひくものになったかなと思いました。

編集者(渡邉)コメント

『輪廻新生』 (あっ ふーこ賦夘)

冒頭から何が起きているんだろうという状況の魅力と、主人公の感情、しっかり描けていますね!剣の中に閉じ込められている、など気になる情報を、分からせすぎてしまうと読者が満足してしまう、バランスが難しいと思います。魅力的な設定ができていますので、いったん全部しっかり分からせる。その上で楽しんでもらえるように描く、ということを意識してみてほしいです!またこの状況から、主人公ならではの行動は何なのか、ということも考えるとキャラクターがより強くなると思います!

編集者(後藤)コメント

ゲーム性を感じる始まりでぐっと引き込まれました!どこかに閉じ込められ、何かを探している主人公。この主人公が今後どのような体験を経て、何を見つけどう変わっていくのかがとても期待できる冒頭だと思いました。主人公の表情やタッチもオリジナリティがあり、魅力的です。一方、読者も主人公と同じように「何が起こっているかわからない」気持ちで読み進めていくことになるのですが、時代やどんな場所(穴なのか、牢なのかなど)であるか等もう少し設定情報が物語内で補足されていると主人公が起こっていることが把握しやすくなるかと感じました。

編集者(武田)コメント

『鼻毛の異能者』 (オーツボ)

とにかく勢いを感じて、一気に読んでしまいました!
まさかマッスル系の女性が出てくるとは…。予測不能な展開は、持ち味だと思います。
ダメ能力の3人が、普段どんな境遇にあっているのかは、もっと描写がほしいと感じました。能力を使う場面が入れることで、普段と能力とのギャップ(あるいはギャップがない)を見せることができると思います。
独特の絵柄で、この世界を突き詰めてほしいです!

編集者(高林)コメント

とても面白かったです!冒頭から笑いっぱなしでした。特殊能力が「鼻毛を自由に伸び縮みさせること」という、一見えっ、これ物語になるのかな?という設定に対し、しっかりと主人公のピンチや、ピンチを救うヒロインのキャラの強さをベースに魅力的なストーリーにしていて、この設定とテーマですぐにでも連載が開始できそうと思いました。その中で、絵柄を写真のようなリアルタッチですすめていることも本作の魅力のひとつかとは思うのですが、オーツボさんがこの先このタッチをずっと追求されていくのか、もしくは、違うタッチでも試してみたいと考えられているかで、また本作の未来も変わってくる気がしました。

編集者(武田)コメント

『チートはBANさせていただきます』 (さく兵衛)

異世界転生したら最強という前提を覆すことで、先がどうなるのか気になって読んでしまいました!
緊張感をさらに出すには、エルフをすぐに呼び出すのではなく、まずは主人公を突き落とす展開でもいいかなと思いました。なぜか主人公が理不尽なことに巻き込まれていく。そしてその背景に、エルフがやろうとした思惑が見えてくる。
チートするのにどういう企みがあるのか、この理由が転生ものをすべて包括した批評性があるとおもしろそうです。

編集者(高林)コメント

ヒキのあるラストで、この後どうなるのかなと思わされてしまいました。これどうなっちゃうの、と言う部分の斬新さやヒキがあるからこそ、そこまでがやや冗長に感じてしまったところにとてももったいなさを思いました。ラストまで読み飛ばされないように、最初でいかに引きを作るのかや、主人公にさんざん感情移入をさせてから裏切る、みたいな読者をひきつける工夫があるとよりよくなっていくかなと思いました。闇のあるキャラクターや描写部分も魅力的なので、その部分もより強化していけるとさく兵衛さんの作品がよりよくなっていくかもしれないなと思いました。

編集者(渡邉)コメント

『手強い美都ちゃんは関西出身』 (矢矢矢充)

描きたいキャラクターのポテンシャルはあると感じました。今の分量だけだとまだ判別は付きかねますが、1話のエピソードだけだと美都ちゃんに対して正直「かなり豪勢な生活をしているが、意外なところで自分には厳しい」という印象を抱いたくらいでしたので、タイトルにある「手強い」というのをもう少し砕いて伝わるようなエピソードにできると1話から話がわかるようになるのではないかと感じました。

編集者(柏村)コメント

まず、美都ちゃんがとてもかわいいですね!こんな子と同じユニットで生活..と考えただけでも、よーいちろうさんと同じく、私もドキドキしてしまいました。今後もいろいろなエピソードが楽しみな作品だなと期待が持てました。本作は、なにをもっても美都ちゃんの魅力が一番の肝になってくるかと思います。現状でわかっているのは美都ちゃんは「手強い」ということ。どんなシチュエーションでこの手強さがいきてくるのか、どんな風に手強いのか?今のプレゼントのくだりだけだと天然と変わりない気がするのでそこは矢矢矢さんの中で美都ちゃんのキャラをしっかり決めておくことで今後より生き生きした作品になっていくかと思います!

編集者(武田)コメント

『勇者のお手伝い』 (うんたば)

1つの長いストーリーをしっかりと作り上げていることがまず素晴らしいと思いました。各キャラクターのやりたいことや、主人公のヤマのかけているものもわかりやすく感じました。ここからは、例えばヤマがやりたいことがより具体的になったり、ロリキャラの絵をより可愛く描いたり、もしくはストーリー内のギャグを増やして行ったりなど、より自分の書きたい部分を尖らせていけると良いのではないかと思います。

編集者(柏村)コメント

ちょっと笑えるモンスターのセンスがいいな!と思いました!ジノちゃんもとてもかわいく描けていて応援できるキャラクターですね!天使がどういう仕事でどういう毎日を過ごしているのか、地上に降りてくるとどうなるのか、もう少し情報が知りたいです。また勇者ヤマについては逆に、状況は分かるのですが、拗ねているので、拗ねているキャラクターでも冒頭から読者に愛されるように見せるにはどうするといいか、色々な作品の主人公が拗ねた状態を研究してみてほしいです!

編集者(後藤)コメント

『溺愛してるケモ耳少年がゆうこときかなくて困ってます』 (あっ ふーこ賦夘)

キャラクター一人一人に愛情があるのが伝わってきました!せっかくなら読者にも愛されてほしいので、そのためにもう少ししっかりキャラクターの自己紹介をしても良いのかなと思います。それぞれのキャラクターとの関係性、またこの舞台での立場、偉い人なのか下人なのか、そのような状況がしっかり伝わると、よりキャラクターたちのやりとりに生じる感情が楽しく受け取れそうです。また顔のアップがやや多いので、縦スクでの会話をどう見せるか、ということも今後取り組んでみてほしいです!

編集者(後藤)コメント

作品を通して、作家さんの萌が、描きたい!という思いがビシビシと伝わって、自然と笑顔になる作品でした!
その一方で、一般の人には伝わらない単語や、説明不足の表現が数多く見受けられるところが気になりました。
まずは、登場人物自身の説明や、それぞれの関係性を丁寧に描き、『主人公が誰で、何をしたいのか』を明らかにできると良いと思います。
作家の中の世界観をそのまま表現するのではなく、何も知らない読者に「伝わる」ことをより強く意識すると、上記ポイントを自然と意識できるかなと思います。

編集者(佐野)コメント

『吸血鬼の王が僕にライバルになれと鍛えてくる』 (おおみね)

作画・カラーが今のWebtoonの時流をよく捉えていて、しっかりと作品群を読み込んで自分のものにしているなと感じました!とても綺麗で目を引きます。
テーマもファンタジー作品の中で1つ捻ってあり、主人公とオディロンのしたいこともしっかりと伝わってきて、読み進めたくなりました。
その上で、今のファンタジーWebtoonと比べると、物語が始まる1話のクライマックスに辿り着くまで、ややテンポ感が遅いように感じます。
序盤の演出部分をもう少し抑えて、ナレーション系の吹き出しの感覚を短くするなどして、半分のスクロールである程度物語が進んで行く方が良いかと思います。
Hyke Commicの作品などを研究してみると、今の作品が何段階もレベルアップするように感じます。

編集者(佐野)コメント

ハイファンタジーの世界観を高い画力で表現されており、とても魅力的に感じました。ただ世界観はわかったものの、主人公と吸血鬼の王の出会いまでの世界観説明に終始してしまったことで、どのキャラクターに感情移入すればいいのかがわからずになってしまったところにもったいなさも感じました。一例としてですが、2人の出会いからはじめてしまって、そのあと世界観説明はその2人のやりとりからわからせる、という形だとより読み手が引き込まれる形になるかなと思いました。高い画力で世界観を描ける力がおおみねさんの武器だと思います、その武器も磨きつつもあと一歩キャラクターを魅せるところも研究してもらえたらなと思います!

編集者(渡邉)コメント

『神々のカルテ』 (みじんこ)

読み始めてすぐ、普段、自分の無意識化にあるけれど、確かに存在する感情、思考が、この物語によって揺さぶられ、触れられるのはないかという予感、期待が膨らみました。設定、セリフが、すごく面白かったです。ファンタジーの世界観を作るのがとても上手だなと思いました。キャラクターの感情で展開していくと、より引き込まれ、魅力的な物語になると思いました。

編集者(竹本)コメント

「四足で歩く者への差別」という印象的なワードや、縦長の画面をダイナミックに活用した絵のレイアウトに冒頭から心を掴まれました。全体を通して、説明要素が多く感じたため、それらの状況をキャラクターがどう受け止めているのか、「感情」により焦点を当てたストーリーを見てみたいです。

編集者(村山)コメント

『母の心残り』 (ロッテンマイヤー)

短いストーリーの中で、「母とは?」というテーマ、母の想い、息子の想いが、しっかり伝わってきました!テレビを見てるお母さんの顔が素晴らしかったです。コメディタッチの描き方と、グッと心に深く届く感情の描き方のバランスがとてもよく、多くの人に届く物語を描くことができる作家さんだなと感じました!さらに長い物語を描いてほしいなと思いました。

編集者(竹本)コメント

セリフがおもしろく、冒頭から笑ってしまい引き込まれました。セリフ一つで人を笑わせる、セリフ力がとても長けている方だなと思いました。ただもったいなかったのが、霊になったあと二人のやりとりがセリフだけな部分が多かったこともあり、一瞬生前の話をしているのかなと誤読してしまったため、絵的な演出を加えてその誤読を生まないようにできると読み手が迷わず感情移入できる作品になるのかなと思いました!ちょっとした演出の工夫だけで何倍にもおもしろくなる作品かと思います、応援しています!

編集者(渡邉)コメント

『数多の罪があろうとも!』 (陽気なおじさん)

俯瞰でのキャラ見下ろしや首吊りの描き方など、縦スクの表現技法をたくさん試そう、という心意気が伝わってきました!
後書きには非倫理BLとのことでしたが、Webtoonは『何を楽しむか?』が早く伝わることが大切だと思っているので、この1話前編の中で非倫理BLらしさを伝えられると良いと思います。
また、『主人公のしたいこと』がやや描ききれていないように感じたので、改めて言語化し、1話(後編も含めて)を通して描けると良いなと思いました。

編集者(佐野)コメント

作品のシャンル感(ミステリ)が明確で、先の展開をワクワクしながら読み進めました。コマの配置やアングルの種類も多様で、縦スクとしても読みやすいリズムです。現在は途中段階かと思いますが、「非倫理BL」の魅力を爆発させた描写を冒頭から楽しめると、さらに読者を惹きつけられると感じました。

編集者(村山)コメント

『愛でみつめて』 (のり。)

好きになられちゃう体質、面白いですね!どうなっちゃうだろう、と引き込まれました!キャラクターに関しては、その状況だったらどんな心情になるか、もう一歩踏み込んで想像して「そんな気持ちになるんだ」という読者の想像を超えるところまで描けると、さらに引き込めると思います。そうすると、能力が無効化しそうな相手に対してどう思うか、何をしたいと思うか、ということも明確になっていき、話が膨らむのではないかな…と想像しました!

編集者(後藤)コメント

好きだと言われる能力。だれもが羨ましいのに、それを嫌がるという設定がおもしろいです!特殊能力ではなくても、周りからはうらやましいと思われることが、本人はイヤがだと思うことはあるので。
主人公がなにを達成したいのか、主体的なものが見えてくると、さらに気になるキャラクターになると思います。たとえば、好きだと言われたい相手がいるのに、その人だけには能力が発動しないなど、軸になる展開があるとさらにおもしろく読めると感じました!

編集者(高林)コメント

『マブイの聲』 (aura)

縦スクロールならではの絵の動きや、沖縄というテーマ、どれもauraさんにしか書けない独特のテーマだと感じ、まずはそれが面白かったです。世界観や、キャラクターそれぞれの心情がどう変化したのか、何が欠けていて、それがどう解決されているか、などがいまいちわからずで共感し損ねている場面がありました。一度、明確に各シーンの心情やセリフを増やしてみて、そこからさらに削る、などしてみるとまず理解してもらえる作品になるかと思います。

編集者(柏村)コメント

雰囲気が良くて、民謡の内容が分からなくても読み進めてしまいました!クライマックスの主人公が歌い出すシーンは鳥肌が立ちました!
所々状況やキャラクターの行動理由(心情)が分かりにくいところがあるので、そこをしっかり見せられるようになるとさらに引き込まれる話になると思います。
歌がとても重要な役割を果たしているので歌詞の扱い方(沖縄民謡らしさをどう出すかなど)を工夫すると凄みが出てきそうに思いました。

編集者(酒井)コメント

『カタル - Kathar - 視える…とき』 (アマリコ)

なぜこの霊が主人公を守ってくれたか?が明らかにならない部分も含めて、ややスッキリしなさが実話怪談のトンマナを守れているなと思いました!
その場合、「自分の身にも起こるかもしれない」がとても大切になると思うので、本作ではよりリアリティを表現することが大切になると思います。
毎晩2時に出るのであれば、主人公は時計がすごく気になってしまうのでは...?とか布団に潜り込んでしまうが少し気になってしまって覗いてしまうのでは...?など、キャラクターと向き合い、どのような行動をするのだろうか?というところを突き詰めると、怖さも面白さも引き立つかなと思います。

また、まず賞に提出するというスタンスはとても良いことだと思うのですが、40コマ以上が本マンガ賞の規定であったこともあり、ここはまず守ってほしいと思います。

編集者(佐野)コメント

キャラクターがとてもたっているので、幽霊(?)がみえる女の子が動揺しながらも、その幽霊と親交を深めていくほんわか日常、なのか、幽霊に襲われてしまうホラーなのか、どちらにもできる話かと思います。今は短いページですが、どの方向でもふくらませることができる素敵な題材をえらばれていると思いますので、もっとアマリコさんの世界観を広げていってほしいなと思いました。応援しています!

編集者(渡邉)コメント

『正射必中』 (きんくま)

「正しい」が先にあるのか?後に「正しい」とされるのか?弓道だけでなく、何事にも通じる素晴らしいテーマでその問いに向き合う覚悟を持った始まりだと感じました。一般によく知られてない弓道の面白さと魅力が伝わることと、キャラクターの生き生きしたやりとりによって、多くの人に届く作品になると思います。描きたい感情を軸に、どんなキャラクターを配置するかを大事に考えていくと良いと思いました。

編集者(竹本)コメント

とても短いプロローグ的作品ですが、すでに匂う名作感があります。作品の軸になっていくであろう「弓道とは?」という深い問いや、実践の中での試行錯誤、仲間との切磋琢磨など、スポーツ・青春ジャンルの王道を行くような爽やかな展開が待っていそうな期待感を感じ取りました。続きが読みたい!

編集者(村山)コメント

『水郷めぐり』 (かよ)

まず「渡し守」のお話にとても引き込まれました。主人公が「この世のあらゆる種族を受け入れる世界」と人間の世界の、結び目の役割というのは難しそうに感じましたが、物語を追っていくにつれ、長助の身の上が明らかになり、彼の葛藤や辛さもしっかりと描けていて、今後細かい演出を経て作品になるのがとても楽しみです!webtoonは、見開きと違ってページ数を限定しないところがよい表現方法なので、かよさんの中でここの感情はしっかりと描きたい!と思う部分はコマを足すなどしてしっかり表現してみてください。

編集者(武田)コメント

妖怪や登場人物の構図や表情が魅力的で豊かに描かれていて、心掴まれます。人の願いによって、永遠が存在すること、それと妖怪の世界がハマっていて、他にはない作品、かよさんワールドだと感じました。仕上げていく過程で、妖怪のもつ怖い一面や主人公の葛藤や悲しみが、より伝わる表現になると、世界にどっぷり浸れると思いました。

編集者(竹本)コメント

『クラスの奴が死のうとしている』 (碧木オルカ)

じんわりと心に沁みる作品で素敵でした! 主人公が吉矢を止めるところから最後の未来の話をするところまで二人の交流の流れも良かったです!もっと主人公の高嶺と吉矢の人物像がはっきり見えてくると尚良かったと思います。例えば、高嶺の吉矢への接し方は彼のどんな性格や価値観が影響しているのか? 吉矢の好きなことや嫌いなこと。一人の人物として仕草や表情を突き詰めていくなど。二人の魅力をもっと出していくとより伝わる作品になると思います。

編集者(酒井)コメント

吉矢がなぜ死のうとしているのか?その謎で引っ張って読ませることができる設定だと思いました。
死ぬのをやめてほしいと言った途端に、吉矢が反発するのも、2人の隔絶を感じて、切なかったです。
どんな人間なのか、どんな生活をしているのか、どんな生い立ちなのか、吉矢のことをさらに深堀りして描くことで、キャラクターの深みが出てくると思います。

編集者(高林)コメント

『傷だらけのふたり』 (ジョー)

通り魔が二人も同時に会う、というシチュエーションから、それぞれの過去、そして最後の終わり方と疾走感がありながらどんどん読まされる作品でした。今のストーリーに違和感はないのですが、人の通り魔の個性や、2人のやりとりだからこそわかる面白さなどが間にもう1展開ほどあると、より読み応えがあったり、キャラクターへの共感ができたりするのではないかと感じました。

編集者(柏村)コメント

最後までずっと引き込まれました。とても好きです。通り魔事件を起こそうとしている人が2人いる、という状況にまず驚きましたし、最後の最後まで驚きがちりばめられていたなと思いました。岩明均先生作品のようななにかを感じました。意図しているのかもしれませんが、モノローグで状況やキャラクターを説明しているため、文字を追わないと状況がわからないというのがよさとも思いつつも同時にもったいなさを感じてしまいました。人に響く世界観を構築できるという武器があるからこそ、その世界観を絵でどう魅力的に描いていくか部分を今後磨いていくとよりいろいろな人に届いていくマンガになっていくかなと思いました。

編集者(渡邉)コメント

『結婚の挨拶練習サービス』 (カゲワサビ)

結婚前に彼女を妊娠させてしまった主人公の焦りや、それを乗り越えるために奮闘する様子に逆に真摯さを感じる行動で、好感が持てて面白かったです。お話の流れとしてはするすると読み進められましたが、一点、タイトルにもなっている「結婚の挨拶練習サービス」。1回15万円ということでかなり期待が高まったものの、金額に対して意外と?普通のレクチャーの印象を受けたので、ここを15万円の価値を見せられるようなよりオリジナリティのある内容にできると物語としてもさらに面白くなるかと思いました。

編集者(武田)コメント

話の設定がキャッチーかつ、ストーリーも明快で読みやすい作品です。途中からオチをなんとなく勘づきながらも、男性の慌てふためく反応を見たくて読み進めていきました。コメディタッチの作品なので、全体を通して小さな笑いを散りばめていけると、読者を飽きさせず、作品のトーンとしても一体感が出そうです。

編集者(村山)コメント

『2つの潜在意識』 (矢矢矢充)

人の心の声が聞こえるようになる、という展開から、自らの本音に気づくまで、綺麗な流れで描かれていて、とても面白かったです!ストーリーの流れ作りや、その中でのキャラクターの心の描き方についてはかなり実力があると感じました。より人の目に止まるようにするなら、今回はかなり最大公約数的なキャラクターの悩み、設定なところを、より時流に合わせて尖ったものにしたり、自分ならではのかなり具体な心情を描いたりすると、もっと面白くなるかもしれません。

編集者(柏村)コメント

主人公の置かれた状況、感情を伝える演出が印象的でした!アンケートと心の声、外に向けた主人公の表情、追い詰められた状況に、リアリティを感じました。主人公に「声」が聞こえ始める。「嫌だなー」決してポジティブでない言葉。それ故に、何か面白いことが起こりそうな予感!続きがとっても気になりました。早い段階で、主人公のwantが見えると、物語の展開に良い期待が持てそうだと思いました。

編集者(竹本)コメント

『みよちゃんの胸キュン大作戦!』 (はるむすび)

私も胸キュンしました!みよちゃん大成功です!
大人の遠慮しがちな気持ちをみよちゃんがグイグイと引っ張っていってとても微笑ましかったです!
みよちゃんの胸キュン作戦に対しての大人二人のリアクションや対応も素敵だったので、みよちゃん自身のお母さんに元気になって欲しい気持ちがどんなものなのか(あるいは元気のない時にどう思っていたのか)がわかるともっとグッときたと思います。
最後に胸キュンして元気になったお母さんと純先生の変化を見たかったので、そこまで描いて欲しいと思いました。

編集者(酒井)コメント

みよちゃんが、ママを喜ばせるために奮闘する設定がいいですね。一生懸命な姿が微笑ましいです。純先生が「オレが癒やされてどうする?」と、ママが気になって距離が近づくのもステキでした。
これは仕方ないと思いつつ、みよちゃんがなぜ胸キュン作戦を実行するのか、その理由がわかるようにしておきたいです。その理由がわかると、みよちゃんが次にどういったことをするのか、読者が気になって読めると思いました!

編集者(高林)コメント

『ゴキブリ先生の家庭訪問』 (Prindell EGG)

セリフのセンス、デフォルメされたキャラクターなのに、感情演出の手段が豊富で、演技もしっかりできていますね!追い込まれた人間の感情こそを面白く描こうとしており、Gというキャッチーな素材に隠していますが、マンガとして大事なもので読ませていると感じます。迷いのない線から隠しきれない画力も滲んでいて、相当な実力者と見受けました。ギャグコメディのテンポ感を縦スクでも楽しく読ませていて、縦スクの可能性も感じることができ、素晴らしい作品だったと思います。初回のコルクスタジオ縦スク賞をゴキブリにしてやろうという野心も素敵です!

編集者(後藤)コメント

ゴキブリ先生が家庭訪問してから以降の展開がリアルすぎて、それをかなりドラマチックに演出されているのがとても面白かったです。ゴキ先生は無表情なのに、行動からキャラクターがわかるのは、「私」のリアクションや想像力にバリエーションがあるからかと思います。一点、最初読み始めたときにこれはエッセイマンガなのか、はたまたドラママンガなのか若干迷うので、「私」とはPrindell EGGさんなのか、それとも作中のキャラなのか、何者なのか、の設定が明確になっているとより読みやすくなると思いました。

編集者(武田)コメント


あらためまして、今回ご応募いただいたみなさま、本当に本当にありがとうございました!


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!